とうとう観ました。
世界で評価された「太陽の少年」から6年、姜文監督の新作です。
中国に留学している身として観なきゃいかんだろうと思っていた作品。
当時、雑誌で観たときは興味なかったんだけど、留学してからたまたまネットで見つけて「
嗚呼見てねぇな」って思い出すことができてね。
でも、中国では公安から
大陸での公開禁止を受けてたはずで、「売ってねぇだろうなぁ」と思ってたけど、
見つけてしまって(笑)
さすが中国、結局、国のやることに人民は興味・関係ないんだね。発禁とか関係なし。
映画は冒頭から軍艦マーチが喧しく流れ、日本軍(海軍)の行進が始まる。ここから
「
これ本当に中国人が作ったんすか?」
と疑いたくなるような映像ばかり。
「
そりゃ、中国で発禁になるわ」
とわかるつくりでした。
ところで「鬼子」とは、
中国を侵略した国の人を指す言葉で、経験上ほとんどの場合、
日本のことを指します(笑)
「
日本鬼子」という言葉は、中国に留学する身としては
一度は耳にする言葉の一つでしょう。
ここからはちょっと余談なんで中国語を勉強したことない人は解りにくいんでとばしてください。
中国語の話(発音上の問題)をすると、「鬼子」の発音は「グイズ」(gui3 zi)なんですが、「貴子」という名前も「グイズ」(gui4 zi)なわけで(笑)
発音は実際、第3声と第4声と違うんですが、僕の住んでいる地方では第4声で発音するんです。
だから自己紹介のときに苦労するんだそうです(笑)
高貴な子から鬼の子へ。えらい違いだ。
で、舞台は1945年第二次大戦が終わりかけの日本軍投降間際の華北の湖に面した村(長)
海軍が駐留する村では、戦時中
にしては平穏な日々が流れている。
そんなある日、主人公の馬大三の家に私≠ニ名乗る男がやってくる。
ドア越しに馬大三に拳銃を突きつけ二つの麻袋を置いていく。
「日本兵に見つかるな。大晦日まで預ける。」
と言い残して。
麻袋の一つは日本人兵(花屋)、もう一つには通訳の中国人トンが入っていた。
「潔く殺せ!シナ人!」という日本兵。
殺されたくないから「殺さないで!」と異訳するトン。
わけがわからない村人は困惑したが、とりあえず二人を大晦日まで生かすことに。
しかし、約束の期日を過ぎても私≠ヘ二人を取りに来ることはなかった。
その間、日本兵と通訳が脱走を試み、村人を混乱させる。
村の
食料がどんどん減っていき、
二人を殺すことを決定する村人会議。
くじで当たりを引き、二人を殺すことに
なってしまう馬大三。しかし、
殺せなかった。
春になり、夏になり二人を匿ってもう半年も経っていた。
そういろいろあるなか戦時中なのに食料を与え、手厚い介抱をしてくれる馬大三と妻に少しずつ日本兵は人間としての心を取り戻していき、村人と心を許しあうことになる。
そして皇軍を助けたものには
褒賞を与えることが出来る、と提案。
契約書を書く。
村人も不安だったが、契約書を信じ
陸軍の隊長の元へついていく。
帰った日本兵は、隊長たちにに戻ってきたことを厳しく折檻されるが、隊長が契約書に気づき、
「日本軍は中国人とは違い、信用を重んじる」
と褒美を
あまるほど与える。
褒美を持ち帰った村では、海軍と陸軍と村人で大宴会が催される。
しかし、大宴会で
思いもよらぬ事態が待っている。
この映画何よりもテンポがいい。
音楽面、軍艦マーチの使い方もいい。
笑えるシーンもある。
中国人のあの独特の何をしていてもキレてる&オ囲気が常にある。
日本兵と通訳の異訳も面白い。
なんと言っても村でのある事態からラストシーンにかけてだろう。
実を言うと観る前は、「また中国と日本の戦争映画なんだろう」と思っていたし、とかく、中国で放送される戦争モノいうのは日本=鬼であり日本人=鬼子である。
しかし、この映画は違った。観終わってから解りましたが、きちんと「人間と戦争」を題材にしてしました。
中国で発禁、海外で評価される。というのも頷けます。
人によっていろんな読みが可能だと思う。
特に中国人と日本人の間では。
どうして中国では禁止になったのか?
私≠ニいう人物はいったい誰なのか?
いろいろ興味がそそられる映画です。
しかし所詮、
日本兵も中国人もバカはバカで人間は人間だと。
そういう、映画です。
演出、役者にも凝っていたようで日本の役者は日本人しか使っていません。
2000年のカンヌ国際映画祭グランプリです。
アンダーグラウンド≠謔阮ハ白いです。
あ、白黒ですよ!一部を除いて(笑)