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邦画

作品名記述者記述日
由宇子の天秤唸るバクテリア2021/10/29★★★★

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最初、違う映画を見るつもりだったんだけど上映時間があわず、じゃあ、どうすんべかなぁといくつか確認してたら久々のユーロスペースで、噂の「由宇子の天秤」見ました。
監督がいて、サインもしてたけど、いつもの通りスルー。
後々のつながりになるカモしれないけど、そのつながりは沼。
あと、最前に座るな。頭デカいのに。
それと、熱がなくても咳き込むなら映画館に来るなオッサン。
席が空いてるのに、あえて人の横に座るな。カップル。
なんなんだお前らは!
閑話休題。
瀧内公美名演。主演賞でしょ。ぶっちぎり。瀧内公美ありきだし、瀧内公美じゃなければ考えられない。
あのサバサバ系というか、情と自分にとっての正しさをドライに表へ出さず、しかし明確にわかるように演じられるのは、瀧内公美であればこそ。
撮るなと言われたアパートの外観撮ったり、車のロックを掛けずに本題に切り込んだりするあたり、演出も素晴らしかった。
「ネタバレを避けなければならない」的な言い方をTBSラジオ「たまむすび」ではしていたけど、でもあの展開だとどうしても予想はつくところなので、必ずしも、ネタバレに気をつける必要はないかなぁと。
たぶん、ネタをわかっててもあの芝居は見入るし、わかってたら尚更楽しめる類の映画じゃないかと。
最初から手持ちカメラのブレが気になったのだけど、時々思い出したようにフィックスカメラになって、ようやく意図に気づいたりとか、映画見慣れてないかのような体たらく。
もちろん、ラストの長回しが見事なんだけど(結果的にみんなすこしずつ下衆なだけで、生きてる人に鬼畜はいないのだ)、要所要所で出てくる長回しが効果的に天秤の傾きの変遷を示していたようなので、もう一度見ることがあれば確認したいところ。
でだ。
一番の要点というか、気になったのは、ラスト間際に出てきた
俺たちがつないだのが真実なんだ (要旨)」
の、ある種の捨て台詞。
たちまち、その台詞は映画全体にフィードバックされて、この映画全体の真実を揺さぶる。あまつさえ、パンフの売り文句は
別展開が掲載されたパンフレットを販売中です (要旨)」
なのである。なにを言わんとや。
実際にパンフ見たら別展開じゃなくて、その後だったんだけどもさ。
まぁ、その子は誰の子なのか?問題ではあるのだが。
それはともかく、当初物語を駆動していた事件には一定の真実らしきものが提示されたのに、鏡面構造のように出てきたもうひとつの事件については、観客の気になる真実は提示されない。
しかし、主人公は真実として話す。
天秤がそちらに振れたのは、本稿冒頭から記載の通り、必然ではあるのだけど、しかし、それは監督に意図した事実に過ぎない。
仄かに、物語内の事実より恐ろしい。
アニヲタ的には片渕須直プロデュースが気になるところではあるのだけど、監督の色が前面に出ている作品なので、予備知識的に仕入れてはいても、そこまで意識する必要は無いかなぁと。
ただ、エンドロールの音と、パン屋が実在する衝撃は、なかなか効きますよ。

ちなみに、本編のファムファタルとも言うべき河合優実は「サマーフィルムにのって」のビート板役である。
今回の小畑萌役とは全然違うけど、リアリティのある芝居が素晴らしい。
そろそろ、主演作が見たいところ。

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