作品名 | 記述者 | 記述日 | 星 |
ゴールド・ボーイ | 唸るバクテリア | 2024/05/02 | ★★★★★ |
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じゃなく、原作なのか脚色なのかはわからないけれど、いずれにせよ脚本の構造は良いですよね。
極めて映画的ではあるのだけど、オープニングと東昇殺しのあとの「 助けてください 」を芝居的にも重ねていて、それだけでもう、この犯罪ウマくいかないな。とわかる。
っていうか、杜撰だろ。どの犯罪も。
そもそも落ちるんだったら同じタイミングだし、カメラ(ニコン)落としてるから変な傷ついてるだろうし、墓場殺しにしても胃に証拠残るから購買履歴漁られるし、家で三人殺した後始末大変だし、防御創かもしれないけど、片方が毒飲んで死んでるんだから、もう片方が刺されて死ぬわけない。
最初の偽装自殺だって足にテープ貼ってるから、アレはテープ痕で殺人とバレる。
そもそも完全犯罪を行うならば、嘘をつくシチュエーションを避けられるようにせねば。
ただ、脚本のアラで気になるのはそれぐらい(結構書いてるけど)で、むしろ、伏線回収としては素晴らしい。
ラストのあの手紙は、どうしたって男の妄想というか願望に見えてしまうので気持ち悪いな。とは思う。
でも、そんなことより、この映画は岡田将生ショーだと思っていたんだから!
車内での妄想虐殺シーンに高まりを感じざるを得なかったのだけど、やはりハイライトは最後の皆殺しシーンですよね!
あそこでああいう悪い顔が出来るのは、いかにも岡田将生で、本当にお前そんな役しか来ないぞ!と。
まぁ、パンフ見たら望んでるみたいだから、観客含めてWin-Win-Winかもしれないけど。
けれど、岡田将生の単独ショーではなかった。
最後の皆殺しシーンにトドメを刺す羽村仁成 as 安室朝陽ですよ!
台詞回しは別段ウマくないのだけれど、この役はたしかにこなしていたというか、最初に出てきた時から、信頼できない主人公みが溢れていて素晴らしいのです。
アイドルというか、ボーイズユニットかなんかっぽいけど、この年代でこれやっちゃったら、岡田将生以上にこういう役しか来ないんじゃないかと。
まえで as 上間浩のあっけらかんとした幼さも良いし、誰かと思ったら黒木華の、ビックリするぐらいのシングルマザー感とか、松井玲奈 as 東香の、ちょっとファナティックなお嬢様みも良かったのだけど、なんといっても主役二人の向こうを張る江口洋介 as 東巌です。
そんなたいした芝居はしてないのです。
すくなくとも主役二人や星乃あんな as 上間夏月、ラスト手前の黒木華に比べれば、芝居のハードルはそもそも求められていないとも言える。
ただ、もう圧倒的なまでの「アンちゃん」感ですよね。
ただ画面に登場するだけで「いざとなったら頼りになる親戚のアンちゃん」を、観客に一発でわからせる存在感は江口洋介のあらましを知らなくてもわかる。
だからもうね、いい歳の取り方したなぁっていう。
なので、あのラストでカットオフするのは良いですね。アがるわぁ。
ちなみにだ。この映画が「哀れなるものたち」より面白いか?と問われると悩むのです。
「新根室プロレス物語」と「哀れなるものたち」は比べて、「新根室プロレス物語」に軍配を上げるのだけど、「ゴールデンボーイ」は、なんかジャンルが違うんだよなぁと。
もしかしたら、「なんかジャンルが違う」ってのが、この映画に対する一番の評かもしれない。
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