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作品名記述者記述日
ゴールド・ボーイ唸るバクテリア2024/05/02★★★★

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岡田将生が凄まじきという噂だけを頼りに「ゴールド・ボーイ」見ました。
タイトル的に正しくは「ゴールデン・ボーイ」では?思ってたけど、いちお伏線らしい。
上映前にパンフ買ったのだけど、「デカッ!」と心の中で叫びましたよ。まったく。1300円。
いや、それはそれで慄いたのだけど、一番慄いたのはエンドロールですよ。
「チームジョイ」って、中国資本?とか思って最初見てたのだけど、あとで確認したら「ブシロード」や「トムス」の資本は入っているようで、どうも日中間でコンテンツの商社をやってる会社のみたい。
実際、原作は中国の小説のようで、ドラマ化もされているのを日本で映画化しようとチームジョイが企画し、金子修介に白羽の矢を立てたというのが構図の模様。
そこでまた腑に落ちる。
沖縄舞台なのに、米軍や飛行機は端々に映り込んでいるのだけど、ちょっとわざとらしいし、なにより誰もウチナーグチで話さないなぁと思ったら、だからか。だから、全編標準語なのか!
いろいろ驚きがエンドロールに仕込まれていたので、いよいよ1300円のパンフに日和らなくて良かった。これはメタな伏線が多すぎる。
なんで金子修介かとも思ってたけど、アジアウケ良さそうだしなぁ。
って、そうじゃなく。問題は岡田将生 as 東昇の次の黒木華 as 安室香の次。
ホントは主演の三人組に「星乃あんな」の名前。
あーんと・・・あの女の子の名前だよなぁ・・・知ってるな。この名前・・・なんだっけなぁ・・・キングオージャーのコガネだ!!!!!!
まさか、ここで今年の俺の引きがつながるとは。ビックリ。
この映画撮ってる時にキングオージャー並行で撮ってたの?マジか?スゲェ。
<font size=“5”>この子スゲェ!!!</font>
閑話休題。
何故か宣伝にブシロードがクレジットされていて、そこの謎がサッパリなのだけど、上述の通り資本が入ってるからかしら?
なんで沖縄なのかはなんとなくわかった。香港資本とかタイ資本とかが入ってるから、これは沖縄観光映画なんだ!!!
なるほど。那覇では無いゴザとかがメインで、海を綺麗に撮ろうとしている。
オープニングで2時間ドラマ臭いなぁ(除く岡田将生)思ったら、その直感は間違っていない。
思い返してみれば、わざわざ琉球墓で殺人を行うのもだからじゃないか!

じゃなく、原作なのか脚色なのかはわからないけれど、いずれにせよ脚本の構造は良いですよね。
極めて映画的ではあるのだけど、オープニングと東昇殺しのあとの「 助けてください 」を芝居的にも重ねていて、それだけでもう、この犯罪ウマくいかないな。とわかる。
っていうか、杜撰だろ。どの犯罪も。
そもそも落ちるんだったら同じタイミングだし、カメラ(ニコン)落としてるから変な傷ついてるだろうし、墓場殺しにしても胃に証拠残るから購買履歴漁られるし、家で三人殺した後始末大変だし、防御創かもしれないけど、片方が毒飲んで死んでるんだから、もう片方が刺されて死ぬわけない。
最初の偽装自殺だって足にテープ貼ってるから、アレはテープ痕で殺人とバレる。
そもそも完全犯罪を行うならば、嘘をつくシチュエーションを避けられるようにせねば。
ただ、脚本のアラで気になるのはそれぐらい(結構書いてるけど)で、むしろ、伏線回収としては素晴らしい。
ラストのあの手紙は、どうしたって男の妄想というか願望に見えてしまうので気持ち悪いな。とは思う。
でも、そんなことより、この映画は岡田将生ショーだと思っていたんだから!
車内での妄想虐殺シーンに高まりを感じざるを得なかったのだけど、やはりハイライトは最後の皆殺しシーンですよね!
あそこでああいう悪い顔が出来るのは、いかにも岡田将生で、本当にお前そんな役しか来ないぞ!と。
まぁ、パンフ見たら望んでるみたいだから、観客含めてWin-Win-Winかもしれないけど。
けれど、岡田将生の単独ショーではなかった。
最後の皆殺しシーンにトドメを刺す羽村仁成 as 安室朝陽ですよ!
台詞回しは別段ウマくないのだけれど、この役はたしかにこなしていたというか、最初に出てきた時から、信頼できない主人公みが溢れていて素晴らしいのです。
アイドルというか、ボーイズユニットかなんかっぽいけど、この年代でこれやっちゃったら、岡田将生以上にこういう役しか来ないんじゃないかと。
まえで as 上間浩のあっけらかんとした幼さも良いし、誰かと思ったら黒木華の、ビックリするぐらいのシングルマザー感とか、松井玲奈 as 東香の、ちょっとファナティックなお嬢様みも良かったのだけど、なんといっても主役二人の向こうを張る江口洋介 as 東巌です。
そんなたいした芝居はしてないのです。
すくなくとも主役二人や星乃あんな as 上間夏月、ラスト手前の黒木華に比べれば、芝居のハードルはそもそも求められていないとも言える
ただ、もう圧倒的なまでの「アンちゃん」感ですよね。
ただ画面に登場するだけで「いざとなったら頼りになる親戚のアンちゃん」を、観客に一発でわからせる存在感は江口洋介のあらましを知らなくてもわかる。
だからもうね、いい歳の取り方したなぁっていう。
なので、あのラストでカットオフするのは良いですね。アがるわぁ。

で、星乃あんなです。
この映画評はもしかしたら、星乃あんなのために書いているのかもしれない。
素晴らしかった。
上述の手紙のシーンで回想で挟まれる、あのバス停を振り返るシーンは本当に最高なんだけど、家庭環境もあって、勉強はアレだったかもしれないけど、人間としての賢さが見えるお芝居でした。
もともと、「キングオージャー」みたいな主人公たちの演技力に物言わせて、強引に話を盛り上げていく恐ろしいドラマシリーズの脇役とはいえ、目を惹くおいしい芝居をやっていた子なので、納得感は大きい。
マジか。この子、これから売れる子になるのか。ニコラモデルってスゲェな。

ちなみにだ。この映画が「哀れなるものたち」より面白いか?と問われると悩むのです。
新根室プロレス物語」と「哀れなるものたち」は比べて、「新根室プロレス物語」に軍配を上げるのだけど、「ゴールデンボーイ」は、なんかジャンルが違うんだよなぁと。
もしかしたら、「なんかジャンルが違う」ってのが、この映画に対する一番の評かもしれない。

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