日本映画にしては予告の圧が凄かったので「
国宝」見ました。
世間の評判同様、現時点で2025年の邦画ベスト。
李相日監督作も吉田修一原作もほぼ初めてみたいな気がしているのだけど、吉田修一はそこら中で映像化されてるからなぁ・・・
それはともかく、
こんなに松竹のクレジットが入った東宝映画があろうか?いや、無い(反語)
ストーリーというか、設定の荒さにどうしても気が取られるのだけど、とはいえ、全体に迸ってる緊張感は目を離しがたくて、
どうしてこのタイミングでポップコーン食えるんだ?デブ!とか、なんで今どき上映中にケータイ鳴らしてんだ馬鹿!とか、
つまり、同じ回見た観客のレベルが低かった。ギャフン。
これだからTOHOシネマズ新宿は!!!
閑話休題。
序盤、少年の喜久雄がたしかにホントに
妙な色気があるのだ。
この子凄い!思って見てて、この子をずっと見てたい!思ったのだけど、劇中時間が飛んだら吉沢亮なのである。
それが、ビックリするぐらい色気が落ちて、キャー思ったのだけど、あの少年は何者?思ったら、黒川想矢だった・・・
なにこの子?知ってたけど、デカい映画出る度に凄まじいことになってる!怖い!!!
まだ15歳とかなのに
あの色気を発するって、畏怖の念しか抱けない。
しかも、俊坊の子が
超良い嫉妬視線を送っていて、この子もウマい!いい視線!!!思ったら、越山敬達ですよ。
結局見逃した「
ぼくのお日さま」の子ですよ。
ヤだ。
もう向こう10年はこの2人さえ追いかければ、いい映画見れる気しかしない。
ってそうじゃなく、ヤクザの子が不幸に終わったら、それはそれでポリコレ的にアウトじゃね?思ったら、そうはならなかったんだけど、じゃあ、娘 as 瀧内公美に許されていいのか?ってところは、やはり
男に都合のいい映画に見える。
もちろん、アレは許されたのではなく、諦められたというか、見きりつけられたわけだけど、明確に目の前で見捨てられたどころか、たぶん、週刊誌で炎上までさせられたはずなのに、赦せるのかなぁと。
しかし、あそこに瀧内公美を配役するのは絶妙だし、あの場面でカメラが娘だったら面白いな。とは思ったのだけど。
面白いで言えば、予告でクライマックスかしら?と思ったシーンは、終盤ちょい前に出てきたのだが、あのシークエンスでカット切られて、
がくーんときてしまった。
あれは無理でもワンカットで撮るべきじゃなかろうか?それじゃ「
ジョーカー」は撮れないんじゃなかろうか。
なお、そのシーンを最後に彰子 as 森七菜は出てこなくなってしまい、まったく恵まれてないので、たぶん、
一番歌舞伎の悪魔の犠牲になったのは彰子。
もう一個どうしても気に入らなかったのだけど、どうして歌舞伎を舞ってる時に
音を付けるのか?
おそらくは、海外というかポピュラリティを与えるためな気がするのだけど、パンフ読んでたら原摩利彦はあまり音を付けすぎるなみたいなことを、李相日に言われてたようなのだけど、むしろ海外でも
音を付けてしまう方が外しに見えるのではないか?
そもそも演出として、わかりやすい音を付けるのは安全手であって、それで良い映画なのか?とも。
主題歌の原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」も、あのキーで井口理に唄わせることが正解には思えず、「
鹿の国」と、今年は原摩利彦づいてるのだが、なんだかなぁと。
でも、と接続するのは、やはり映画全体を包むバリバリの緊張感なのだ。
これはもう脇を固めた花井半二郎 as 渡辺謙や、パンフで言及されてもいたけど、マジで梨園の人大垣幸子 as 寺島しのぶ、なによりも物の怪感に溢れた小野川万菊 as 田中泯によるところが大きい。
とくに田中泯は、よくわからないけどスゲェ人!という説得力は抜群だったし、なによりもあの手の動きだけで異様な色気を放つあたり、抜群に田中泯なのである。
それだけでも映画的に勝利なのは間違いない。
無論、人間国宝の晩年がドヤで寝たきり(誰かが能動的にドヤを選んだみたいな話してたのだけど、ホント?)とか、あり得ないことこの上なく、三友とかいう興行主は心の底から糞なので、あんな会社からは足引いた方が良い。
それはともかく「曾根崎心中」なのである。
いっそ、この映画は「曾根崎心中」の映画化と言っても過言では無い。
喜久雄のお初と俊坊 as 横浜流星のお初、そして、福田春江 as 高畑充希にお初をなぞらせるのは、
極めて映画的で、素晴らしい演出だと感じたし、俊坊のお初が喜久雄の徳兵衛にひかれていくのは友情であり、ハッキリ明確に愛なのである。
アレが愛でなければ、なにが愛なの?だと言わんぐらいに愛なのである。
見事に震えるシーンだし、李相日が原作に無い「曾根崎心中」を中心に置いたのは、大大大正解と言わざるを得ない。
手ブレカメラが中盤ちょっと辛いなとは思ったけど、喜久雄目線や俊坊目線で「曾根崎心中」を映し出すのは、映画の快楽ですらある。
中盤の手ブレはホントキツいけど。
無論、パンフで種田陽平が言及しているとおり、オープニングの雪の長崎とラスト鷺娘の紙吹雪の対比も見事なのだが、やはり思い出すのは「曾根崎心中」なのである。
唯一見た歌舞伎座で見た歌舞伎が「曾根崎心中」だからなのかもしれないけど。
なお、喜久雄の紫スーツが序盤は印象的なのだけれど、装苑の記事を見たら、なるほど。母親の着物からなのか!と、膝を打つ。
あと、パンフ読んでたら横浜流星が吉沢亮の関係で、仮面ライダーフォーゼの話を出してくれていて、宇宙キター!思った。
清水富美加、帰ってきていいんやで(本題では無い)