第418回 Eclectic(後編)

U・B  >中田英寿(※1)もビックリな謎の人と化してる感のある小沢健二※2)の4thアルバム「Eclectic
       レヴュの後編です。
空虹桜>相変わらず無茶振りですね。なんか。
U・B  >お褒めにあずかり光栄です。で、今回は7曲目の「欲望」からですが、8曲目の「今夜はブギーバッ
       ク/あの大きな心」と合わせて1曲としてレヴュしたいでしょ?
空虹桜>うん。っていうか、「ブギーバック」だけなら前にレヴュ書いてる(※3)から話す必要ないかなぁと。
U・B  >横の比較(※4)もしてるしね。
空虹桜>ね。で、「欲望」と「ブギーバック」が続き物なのをまず立証したいんだけど、
U・B  >立証って。
空虹桜>まぁまぁ。大仰な表現には目を瞑っていただいて。これ「欲望」が女の子視点で「ブギーバック」が男の
       子視点だと思うんだよね。
U・B  >まぁ、「ブギーバック」はもともと男の子の唄ですから。
空虹桜>そう。パーティで見かけたいい女としっぽりいく曲じゃん。
U・B  >またまたなんつー。
空虹桜>で、「欲望」のどこが欲望かったらもう肉欲じゃん。
U・B  >今夜遅くあの人と深い愛を交わす※5)を直で解釈したらな。
空虹桜>当然ここでの「今夜」は今夜フロアーに華やかな光※6)にかかってくるでしょ。
U・B  >単純に考えればな。パーティなんて男も女もヤること前提なわけだから。
空虹桜>べつにアンタまで下世話な話に付き合わなくてもいいんだけど。
U・B  >「欲望」と「ブギーバック」で対称となら、さらに付け加えられた「大きな心」の立ち位置は?
空虹桜>今までの傾向から行けば神様なんだよね。実際、甘い甘い蜜の味※7)をくれたのは神様で。
U・B  >なんか含みのある言い方ッスな。
空虹桜>うん。今回結構真剣に歌詞カード読みながら聞き返してて思ったのは、神様仮定しなくても説明できるかなぁと。
U・B  >でも、歌詞には「神様」出てきてるじゃん。
空虹桜>むしろ、ここでの「神様」は創世記的で、「大きな心」はエクスタシィとかを仮定した方がいいかなぁと。
U・B  >下世話ですな。
空虹桜イった先で見た風景とか言ってしまう方が、なんかアルバム全体の雰囲気、無理して淫靡な感
       じというか、大人ぶった童貞感にあってる気がすんだよね。
U・B  >わかるけど、また童貞とか。
空虹桜>なんか、小沢君の曲って基本的に妄想っぽくない?
U・B  >アレじゃないッスか?決定的なところで、オリジナルなモノを作ってないからじゃないッスか。
空虹桜>ああ・・・なるほど。たしかにそれはあるカモ。基盤が借り物ばかりなんだ。
U・B  >まぁ、日本だけに限らずカルチャシーン全般に言えることですけどね。
空虹桜上から目線でアンタに言われると腹立つなぁ。
U・B  >はいはいはい。すみませんすみませんすみません。
空虹桜三度も言うな!
U・B  >基盤ってところで話戻して9曲目が「bassline」で、なんか「ブギーバック」で一度得たカタルシスというか余韻
       が全部台無しになってしまってる感
空虹桜>むしろ、それは当初からのコンセプトだと思うけどね。
U・B  >その意図は?
空虹桜>そもそも2曲目「愛について」の使い回しじゃん。歌詞が。メロディもほぼ。
U・B  >でも、ベースの音は原曲より強くなってるよ。
空虹桜>いやまぁそうなんだけどそうじゃなくて、ここがベースラインだって話。
U・B  >ゆっくり火遊びしたいっていう?
空虹桜>そこだけ聞いたら完全外道だなぁ。
U・B  >ちうか、小沢健二が外道じゃなかったら誰が外道かと
空虹桜>名誉毀損で訴えられちゃってくださいよ。
U・B  >速攻日和って謝るから。
空虹桜>弱い子だ。えっと、それはともかくとして、このあとに続くのが10曲目「風と光があなたに恵むよう
       」なんだけど、これが3rdアルバムまでの小沢健二っぽくて、なおかつ、5thアルバムの「Ecology Of Everyday
       Life」っぽいんだよね。
U・B  >たしかに。インストだし。(※8
空虹桜>きっとここまで含めてというか、「bassline」以降が既にループ入ってるんだと思うんだよね。
U・B  >えっ?意味わかんない。
空虹桜>つまり、構成的に終了地点を真ん中に持ってきたっていう。意味的にはこれで終わ
       ったと思うなよ!みたいな。
U・B  >ええ〜、じゃあ、本来なら、
空虹桜>「bassline」から始まったアルバムならもっとわかりよかったんじゃないかなぁ。
U・B  >でも、そうだとして11曲目「甘い旋律」はやっぱり重くないか?
空虹桜>うん。けど、今まで「球体の奏でる音楽」とかでは普遍的というか大きな話を語っていたように見せかけてたのが、
       このアルバムではひたすらあなたと僕の話に終止してるんだよね。
U・B  >前回チラッと俺が言いましたな。
空虹桜>そうだっけ?どちらにせよさ、じゃあ、直線的に素直になってるかったら、そんなことはまったくなくて、ひねく
       れちゃってるわけじゃん。
U・B  >12曲目「踊る月夜の前に」でなんか動く動くあなたの心 それを感じたい 穢れの
       ない魔法使い この世界にいる喜び※9)と、無駄に話を拡大させている。
空虹桜>照れ隠しっていうより、見透かされたくないオーラなんだよね。バレバレなのに。
U・B  >そろそろまとめていただけますか?
空虹桜>はーい。えーと、前回もチラッと言ったかと思うんだけど、「Eclectic」が「折衷主義の」という意味であるなら、小沢
       君は単純に自分の能力以上を夢見て追っかけて全然追いつけようがない
       んじゃないかなぁと。次のアルバムん時に覚えてたら言うかもしれないけど、基本的に小沢君が諦めて
       くれないと唄モノのアルバム出ないんだろうなぁ。(※10


※1 中田英寿:職業旅人。フラフラしてるだけでお金になる、ある種脅威の人物。
※2 小沢健二:スチャダラパーは最近真面目に活動してるのに、なにやってるんだろうねぇ。的な渋谷の王子様。過去紹介分はこちら
※3 出た直後に空虹さんが書き下ろしたんで、ここの話題と全然視点が違いますがこちらをご覧くださいませ。
※4 「ブギーバック談義」と題してがございます。2のアクセスが思いのほか少なくてモノ足りん。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 インスト:インストゥルメンタルの略。唄無しの曲。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 空虹桜40行。U・B33行での勝ち。ちうことで、いよいよやりますよ。再来月には本文中にも出てきた「Ecology Of Everyday Life」を!恐怖。


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