お芝居してるフリをする方法(コラム)

 「てんとう虫の呪文」で朗読の対象としているのは、500文字程度の短い物語「超短編」である。原稿用紙に直せば1枚と1/4。普通に読むならば1分強。にもかかわらず、これがなかなかどうして実際に声に出して読むと難しい。
 なので、ちょっと様になるかもしれない、読む時のコツみたいな話。なお、以下はあくまでも空虹の勝手論です。真似してなにかあっても一切空虹は責任を負いません(笑)厳密な朗読のハウトゥはその手の本を読んでください。しっかりと芝居やら朗読やらのイロハを習ったわけではないので。
 さてさて、読む話が決まったら、WORDでも一太郎でもいいので、全文コピペします。なお、空虹自身の慣れの問題で縦書きにしてます。もともと早口気味なので、目が苦手な縦の動きにして、わずかにでも喋りをゆとらせるのがこっそり理由としてあります。それはともかく、コピペし終わったら一度声に出して読んでみます。
 たいてい一度目ではすらすら読めません。噛むのはもちろん、読み方がわからなかったり、言いにくかったり、いろいろあります。なので、まずはそこを読みやすく直していきます。たとえば、読み方が難しい漢字があったらルビを振ったり仮名に開いたりします。逆に、仮名であるために読みにくい場合は漢字に戻していくこともあります。重要なのは実際声に出した時、迷わないで読めるかどうか。
 必要に応じて句読点も振り直します。とくにその名のごとく読点は増減しまくりです。ほとんどの読点は作者のリズムで打たれてますので、それを自分のリズムに直すのです。朗読する技術があったり、作者独特のリズムが作品のおもしろさである場合は直さないのでしょうが、アタシには無理です。
 おそらく、この作業を何度も繰り返すだけで、棒読み感はだいぶ消えるのではないかと。さらに、芝居をつけてるっぽくするにはどうするか?アタシは改行を入れます。場合によってはケータイ小説かと思うぐらいにバシバシ入れます。朗読やナレーションする際の技術として、声に出す文字の少し前の文字を目で追う(先読みする)というのがありますが、アタシはあまりこれが上手くないので、改行を入れます。すると、視線が行末から次の行頭に移動するだけの「間」が稼げるからです。この「間」さえ稼げれば、十分お芝居してるように聞こえます。
 「改行入れなくても、視線は行末から次の行頭に移動するだろ?」というツッコミを入れる人はいるでしょう。たしかに移動します。ただ、その場合ほとんどは文の途中で視線は行末から次の行頭へ移動します。したがって、行末から次の行頭は想像できますから、「間」はさほど生じません。しかし、句点で区切られたあとの改行の場合、文脈から次の行頭を想像して的中する可能性は格段に低くなります。超短編ならなおさらです。
 そんなこんなで、「それって著作権侵害じゃない?」とお思いの方はいるかもしれませんが、たしかに超厳格に著作権法を適用すると侵害になるかもしれないけど、普通は上演権の範囲(演出)として認められるんじゃないかなぁと。

(文責 空虹桜)

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