第936回　春の空気に虹をかけ

Ｕ・Ｂ＞小沢健二（※１）のワンマンレポだけはクロスフェーダでやりましょう！ということで、ここ数年毎年オ
　　　　ザケン見てます（※２）が、今回は「春の空気に虹をかけ」の5/3＠日本武道館（※３）を見ましたよということで。
空虹桜＞そうだ。たしかに毎年見てる。うわぁ。
Ｕ・Ｂ＞大きな声出さない。さて、どうでした？今年は。まさか小沢健二の武道館を見なんて10年前には思
　　　　いもしなかった事態でしたけど。
空虹桜＞思いの外グッズ並んでなくて、「春空虹之書」サクッと買えたけど、「魔法的モノローグ台本+4+2」は売ってなかったんだよね。
Ｕ・Ｂ＞たぶん、都内３公演目だから、積極的に欲しい人たちは他で買い終わってるっていう。そのクセ、マネキンとの写真撮
　　　　影は大混雑でしたけど。
空虹桜＞痛々しい。
Ｕ・Ｂ＞痛々しいとか言わない。
空虹桜＞あとさ、アタシ初めての武道館だったんだけど、凄い席だった。
Ｕ・Ｂ＞ステージのほぼ真横みたいな場所でね。全然座席表見ずに安いの取ったから（※４）
空虹桜＞アレはアレで面白かったけどね。っていうか、そのわりに音が良かった。
Ｕ・Ｂ＞ああ。それは思いました。ラインアレイ（※５）なんで、後ろとか無理だよなぁと思ってたんだけど、サブでこっち向い
　　　　てたスピーカの音が良かったですね（※６）
空虹桜＞あっ、そっか。ラインアレイからの音じゃなかったのか。
Ｕ・Ｂ＞直だったら、あそこまでいい音しないですよ。その辺は、ちゃんと金かけてるなぁ思いました。
空虹桜＞たしかにお金かかってる感はあった。
Ｕ・Ｂ＞個人的には、出演者側のアングルで日の丸見れたのが貴重だなぁと。で、本編ですけど、15分ちょっと押
　　　　しでスタート。
空虹桜＞この何回か、凄い小沢健二のライヴは、ゆっくり乗っかってく感じなんだけど、でも、やっぱり出だしの「アルペジオ（きっと魔
　　　　法のトンネルの先）」（iTS / Amazon）の朗読パートからのはじまりにはアがらざるを得なくて、っていうか、そもそ
　　　　も、今回のライヴは「アルペジオ」目当てだからさ。
Ｕ・Ｂ＞そんなに？
空虹桜＞「ラブリー」（iTS / Amazon）や「ぼくらが旅に出る理由」（iTS / Amazon）より好き。というか、小沢健二史上最高
　　　　傑作。
Ｕ・Ｂ＞そこまで？
空虹桜＞今まであの人は、自分と、恋人も含めた家族についてしか唄ってこなかったんだけど、この曲だけが
　　　　友だちのことを唄っていて、友情を基盤にしてるんだよ。それだけでもう奇跡みたいな曲なんだけど、そもそもまず、
　　　　このツアーのタイトルの由来が日比谷公園の噴水が　春の空気に虹をかけ　「神は細部に宿る」
　　　　って　君は遠くにいる僕に言う　僕は泣く（※７）なわけでしょ。
Ｕ・Ｂ＞そうですね。
空虹桜＞「遠くにいる僕」は、でも、時々は　君だって弱いから　助け合うよ　森を進む子どもたちのよ
　　　　うに　手を握って　友よ　強く（※８）なんだよ。
Ｕ・Ｂ＞歌詞の順番ひっくり返っちゃってますけどね。
空虹桜＞当然、ここの「君」は岡崎京子（※９）なわけじゃん。だからこそ、曲の最後は下北なんだけど、ニューヨークにいる小沢健二と、
　　　　下北にいる岡崎京子が、距離を超えて、ちゃんと手を握ってるわけだよ。
Ｕ・Ｂ＞はぁ。
空虹桜＞でさ、きっと魔法のトンネルの先　君と僕の心を愛す人がいる　汚れた川は　再生の海へ
　　　　と届く（※１０）の「愛す人」は二階堂ふみ（※１１）
Ｕ・Ｂ＞はいはい。まぁ、そうでしょうね。
空虹桜＞二階堂ふみのおかげで、再生の海へと届いたわけじゃない。もうさ、こんなにリスペクトしか籠もってない曲
　　　　を小沢健二が唄ってるんだよ！
Ｕ・Ｂ＞だから、大きな声出さない。ちなみに、俺は声にせずに歌う歌詞が振動する　僕は全身全霊で歌い続
　　　　ける（※１２）のワンフレーズが抜群に好きです。
空虹桜＞それはともかく、だから、「アルペジオ」ではじまった時に、これは「アルペジオ」で終わる構成なんだろ
　　　　うなぁ思ったんだよ。
Ｕ・Ｂ＞たしかに、「アルペジオ」はじまりで「アルペジオ」終わりでした（※１３）
空虹桜＞にもかかわらずさ、「フクロウの声が聞こえる」（iTS / Amazon）まで、もう一回やって終わっちゃったじゃない。台無し。
Ｕ・Ｂ＞ファンのクセに「台無し」とか言わない。
空虹桜＞台無しだよ。結局さ、自分で言ってたけど「ユートピア」でしかないんだよ。ワンマンで、自分のファンしか来てな
　　　　いんだから。そこで「生活に戻ろう」を２回も言ってたら、ユートピアの強制なわけじゃん。
Ｕ・Ｂ＞たしかに２回もやるんか！思いましたけど、言うても、小沢健二って人は行き当たりばったりな人で
　　　　すよね？
空虹桜＞さも、計算尽くみたいな顔してね。
Ｕ・Ｂ＞じゃあ、仕方ないじゃないですか。
空虹桜＞仕方なくないよ。「フクロウ」って、最近良さがわかってはきたけど、それでも、小沢健二の偽善性全開の曲なんだ
　　　　よ。だからアタシは「小沢健二世代」ではない。
Ｕ・Ｂ＞最後の最後のMCですね（※１４）
空虹桜＞うん。だからさ、って、いいや。この話してると機嫌悪くなるから止めよう。
Ｕ・Ｂ＞自己中毒的な。
空虹桜＞とりあえず、今回のツアーはやっぱり満島ひかりが素晴らしかった！
　　　　（※１５）に尽きると思うんだよね。
Ｕ・Ｂ＞そこはもう異論無いです。あの人の空間掌握力は凄いね。
空虹桜＞ホント。なんなんだろね？日本最高峰の女優ってこんなにも目を引くのか！っていう。
Ｕ・Ｂ＞立ち位置が入れ替わって、小沢健二は何度か見失いましたけど、満島ひかりはすぐ見つかった。
空虹桜＞そうそう。んでさ、「いちごが染まる」（Amazon）のわけわかんない演出があったじゃない。
Ｕ・Ｂ＞テープでグルグルと小沢健二を囲って、プロレスリングっぽくしたかと思ったら、縦に揺らしたのち、すぐに片付けたという。
空虹桜＞謎な動きをさせたら、日本でトップだよね。
Ｕ・Ｂ＞褒めてる感じは一切ないですけど、全面的に同意です。超呑み友達なりたい。
空虹桜＞なりたいなりたい。どこ辿ればそゆコネクションに行き着くかな？
Ｕ・Ｂ＞早く空虹さん有名になってくださいよ。
空虹桜＞・・・ごめんなさい。
Ｕ・Ｂ＞えっと、満島ひかりいるんだから、「ある光」（iTS / Amazon）やってくれたし、さっきの終わりの話でいくと、本編最後「流動
　　　　体について」（iTS / Amazon）で終わったじゃないですか。あの曲のアンセム感も凄いなぁと思いました。
空虹桜＞そうだね。でも、アタシは、その直後にアンコールおねだりしてるのがどうよ？っていう。
Ｕ・Ｂ＞そゆところ、耐えられないんだ。
空虹桜＞無理。ただ、アンコール１曲目が「流れ星ビバップ」（iTS / Amazon）だったじゃない。
Ｕ・Ｂ＞言うても、小沢健二「流れ星ビバップ」好きですよね。
空虹桜＞「刹那」（iTS / Amazon）までアルバム収録避けてたクセにね。でさ、「春にして君を想う」（Amazon）やって
　　　　ないのは気づいてたから、アンコールかなぁとは思ってたんだけど、「流星ビバップ」が春の曲だと思ってな
　　　　くてビックリした。
Ｕ・Ｂ＞はいはい。薫る風を切って公園を通る　汗をかき春の土を踏む　僕たちが居た場所は　遠
　　　　い遠い光の彼方に　そうしていつか全ては優しさの中へ消えてゆくんだね（※１６）ですね。
空虹桜＞そう。全然そんな印象が無かったから、チョイスが絶妙だったなぁ。
Ｕ・Ｂ＞褒めた。
空虹桜＞常に足蹴にしたいわけじゃないから。
Ｕ・Ｂ＞そろそろ締めようかと思うんですけど、トータルでご感想は？
空虹桜＞まさか「あらし」（Amazon）聴けると思わなかったから、だいぶビックリした。
Ｕ・Ｂ＞そこか。
空虹桜＞必ず「Eclectic」（Amazon）の曲入れてくるんだよね。ワンマン。
Ｕ・Ｂ＞たしかに。それでいくと、逆に「今夜はブギー・バック」（iTS / Amazon）をやらなかった。
空虹桜＞でも、今回のツアーの内容だと、「ブギーバック」はいらないでしょ。
Ｕ・Ｂ＞とはいえ、まさかですよ。「ブギーバック」をやらないって。
空虹桜＞ANIが国際フォーラム普通に見に行ってた（※１７）から、すくなくとも、客演しないのは知ってたけどね。
Ｕ・Ｂ＞たしかに。で、次あったら行きます？
空虹桜＞・・・うん。
Ｕ・Ｂ＞悩むなよ！
空虹桜＞結局、やっぱり、小沢健二好きなんだよね。しんどいよぉ・・・（※１８）

※１ 小沢健二：渋谷系の王子様こと日本で中田英寿と並び立つ職業「旅人」の人。通称「オザケン」
※２ ここ数年毎年オザケン見てます：2016が「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ（6/23）」、2017が「FUJI ROCK FESTIVAL '17（7/29）」、2018が今回。
※３ 日本武道館：a.k.a ライヴハウス武道館へようこそ！日本伝統の武道を普及奨励し、心身錬磨の大道場としての役割を担うことを設立趣旨とする大きな玉ねぎ。
※４ 全然座席表見ずに安いの取ったから：スタンド指定席Ａでした。

※５ ラインアレイ：フルレンジスピーカの一種。最近の野外フェスは、だいたいラインアレイ。だいたいこんな感じ。
※６ サブでこっち向いてたスピーカの音が良かった：たぶん、ラインアレイ１セットがこっち向いてた。
※７ 拡大部は歌詞より引用。
※８ 拡大部は歌詞より引用。
※９ 岡崎京子：漫画家。1996/5、自宅付近にて夫と共に大型四輪駆動車にひき逃げされ、活動休止＆リハビリ中。今年はスチャダラの野音も見に行っていた模様。
※１０ 拡大部は歌詞より引用。
※１１ 二階堂ふみ：日本の女優。気がつくと、「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」「ヒミズ」「地獄でなぜ悪い」「味園ユニバース」「リバーズ・エッジ」と、５本も主演作を見ているので、自分が怖い。
※１２ 拡大部は歌詞より引用。
※１３ セットリストはこちら。
※１４ 後年消される公算が高いので、小沢健二がオフィシャルに記載していたコメントをコピペ。

えーと、ライブの熱の中で言ったことが変に響いたそうなので、書きます。「世代は広告がねつ造するもの」みたいな話は、「魔法的モノローグ」の「広告４部作」などで考え、書いてきたことです。興味ある方は、読んでみてください。そして、自分のオーディエンスもよく「オザケン世代」と括られるのですが、今回のツアーで客席を見ているといろんな人がいて、「オザケン世代なんてないよなぁ、フクロウがわかるかわからないかだけだよなー」と思いながら、ツアーしていました。なので、満島さんの冗談をうけて、「オザケン世代なんて信じてません。フクロウがわかる人が僕のオーディエンスです」と、言いました。発言自体は本心ですが、満島さんをディスってるみたいに聞こえたという声があり、そんなつもりは全くないことをお伝えしたく、書いています。満島さんとは過去半年近く、一緒に魂をけずって、長い話をし、お互いに尊敬を持って、作業をしてきました。なので、いつもどおりただ彼女の言葉をうけたのですが、変に響いていたら、すみません。だし、オザケン世代って言葉、自分でも軽口で使います 笑。でも、ああいう本気の場では、本気で長く考えていることが、本気で出てしまいます。ということを、ひかりさんは書かなくていいよと言っていましたが、書いておきます！（今は、ライブ終わって、すぐです。これから打ち上げ。）